この家族が求めていたのは、騒音から逃れられる場所だった。都市の喧騒の中で、自分たちだけの時間を持つ空間。壁を灰色で塗り直すことで、それは実現した。
深みのある灰色は、光の入り方によって表情を変える。朝日が差し込む時間帯には、壁全体が柔らかく輝く。夕方になると、その色は落ち着きを増す。この微妙な変化が、毎日の生活に奥行きをもたらした。
色選びの過程は簡単ではなかった。何度もサンプルを壁に貼り、時間帯ごとに色の見え方を確認した。朝、昼、夜。それぞれの光の中で、この灰色がどう映るかを見守った。
施主は建築家の夫と、インテリアに関心の深い妻。二人の感性が一致した時、この色が決まった。それは妥協ではなく、共有された美学の表現だった。
ペイントコーディネーターとしての役割は、その美学を言葉にし、実現させることだった。壁の色が変わると、家族の時間の質も変わる。そのことを、この家族は今、毎日実感している。
- ペイント
- 灰色系
- 空間
- リビング
- 施主
- 建築家夫妻
- 手法
- 全面塗装